翻訳の楽しさ


私は翻訳と英和訳を似たようなものだと思っていたので翻訳のことをあまり良いものだとは思っていなかった。この考えは「翻訳者への道」(ダイヤモンド社出版、徳岡孝夫著)によって見事に打破され、英語に対する新たな楽しみを知ることができた。普段、英語を読むとき英語のまま頭の中に入れているのだが、たまには気分をいれかえて英文を翻訳をしてみるのもおもしろそうだ。翻訳の楽しさを知っている人にとっては既出のことだと思うが私の言葉で翻訳の楽しさを説明してみたい。


“We need men who can dream of things that never were.”この一文を訳することを考える。学校の試験であれば「私たちは、今までにないことを夢見ることができる男が必要です」と訳せば間違いにはならないだろう。これは単なる英和訳であり訳す側も読む側もおもしろくともなんともない。


翻訳は自然な訳を考えるところにおもしろさがある。どこかの大企業の男社長が次期社長候補を探す場面であれば“我々には出来る男が必要なんだよ”と“men who”以降を“出来る男”と訳せば男社長の力強さがでるかもしれない。開発に関する人材を探しているのであれば“我々には役立つ製品を開発できる人材が必要だ”となるかもしれない。


場面や話す人に合わせて自然な訳を考えるところに創造の楽しさがあり、同時に非常に難しいということがわかった。文脈に矛盾なくカチリと訳をはめ込む楽しさや、文章としてのうねり(文章の美しさ、テンポなど)を訳にもたせる楽しさなど色々な楽しみがある。たぶん大概の人が楽しめるのではないかな。私の稚拙な文章では伝わらないことも多いと思うので、翻訳の楽しさについて知りたい人は「翻訳者への道」を中古で手に入れるか、他の翻訳関係の本を是非一読いただきたい。