a は弱くない。冠詞も生きている。


いま、日本人の英語(マーク ピーターセン著,岩波新書出版)を読んでいる。まだ少しのページしか読んでいないが、冠詞“a”の説明を読んで目からウロコが落ちた。「名詞に“a”が付くのではなく、“a”に名詞が付く」と書いてあり、たしかにこの感覚が分かれば冠詞の使い方を上達させる手助けになるのではないだろうか。私の解釈では以下のようになる。


I have a book.
I have a pen.
I have a bike.


私は今まで英文を読むときは“a”と名詞を併せて頭のなかにその名詞を思い描いていた。“a book”、“a pen”、“a bike”であれば図1が示すように、何の種類かは分からないがもやっとした名詞を思い描く。このとき“a”だけを読んだときには頭の中に何も描いてはいなかった。


“a”は物の輪郭を示す単語なので“I have a”まで読んだときに、何かは分からないが輪郭を持ったものを思い浮かべるべきだったのだ(図2の赤丸)。“a”の輪郭のなかにあとから名詞を描く。これで“a”の使い方がより一層分かったような気がする。


多くの本に“a”の意味は弱いから発音を弱くする、のような説明が書かれていると認識している。たしかに、感覚的に言えば意味は弱いかもしれないが、ここから誤解が生まれているような気がする。日本人は冠詞を始め、英語が(文法が母国語と似ている国の人に比べ)苦手なので、誤解を与える情報に惑わされることなく英語のイメージをしっかり掴んで英語力を伸ばす必要があると思う。



図1:aと名詞のイメージ



図2:a単体のイメージ